まずはカリスマさん渾身のメール草案

会長からのメールはまだかと待ち構える私のところに、まずは練り直されたカリスマさんのメール草案がラインで到着しました。

内容としては→辞令と今回の一連の流れに承服できないこと・解雇の4要件を満たさずに解雇しておきながら、一方ハローワークで人員を募集するという違法行為をしていること・辞令について、自分のキャリアから見て、なぜ4/21より営業局販売部へ転属なのか?また希望配属先について、話し合いの場を持たせてもらっていないこと・解雇通知の際も手芸雑誌編集についての業務委託契約書を用意するといいながら、一向に提示がなかったこと、3/20で書籍編集部解散のはずが、4/20までは書籍編集部の仕事をするとはどういうことか?そして、それ以降は編集部の作業ができないのはなぜか?・4/20までに手芸雑誌の編集業務を「遅滞なく」としているが、約束はできかねること・これまで手芸関連の編集者として採用されて仕事をしてきているのに、今回のような合理性を欠く配置転換は権利濫用であること、自分のキャリアにそった配置転換案を再度提示すること・営業局へ異動の場合の労働条件も提示すること・4名の解雇撤回をしても、会社の運営や資金繰りが大丈夫であることを説明すること・・・・・これらに3/22までにご回答下さい、というような内容でした。

私が気になったのは、回答期限が3/22であることです。カリスマさんは21日を有休にしているから22日にしたのでしょうが、これでは異動した後になってしまう気がします。私としては、回答期限はむしろ今日中、17日のうちに送るよう請求してもいいのではと思ってしまいます。たしか労働局の女性担当者も、解雇撤回に同意できない意志は3/20までに示した方がいいといっていました。でも落ち着いて考えると、こちらの同意できない意志は3/20よりは前に示しているわけなので、相手の回答期限は20日を過ぎてもいいような気もしてきます・・・・・・だんだんと混乱してきました( ̄ω ̄;)

そのような意見を送ると、カリスマさんは「3/22だと解雇のままか、でも解雇も解雇撤回も有効じゃない状態だからなあ」と返してきました。解雇でも解雇撤回でもなく、営業局への配置転換も有効ではないと・・・・それはいったいどういう状態なのか?わたしには、とってもニュートラルな状態が思い浮かんでしまいました。そんな会話を見ていた、おっちょこちょいな人から「解雇でも解雇撤回でもなく、営業局でもないなら、元の通り書籍編集部の社員なんじゃないですか~」などと、ちょっとお花畑な回答が戻ってきます。カリスマさんは、すぐに弟弁護士と某ユニオンの叔父様に確認を取るべく、質問を投げかけておいてくれました。

カリスマさんから「文章に暴走感はないよね?」と質問が来ました。暴走感はありませんが、普段のカリスマさんと同一人物とは思えないような文章だったので、「別人のようです。逆に怖いぐらい丁寧です」とコメントすると、桃のような頭の、赤ちゃんだか老人だか分からない顔の人が、口をへの字に曲げて不服そうな表情をしているスタンプが送られてきましたw

私がこんなやり取りをしながら、パソコンの前でメールを待っていると、ダンナが自転車のカゴを買ってやるから、買い物に行こうと言い出しました。まったく人の気も知らないで呑気なものです。でもまあスマホでも、会社のメールやパソコン用の自分のメールを受け取れるようになっていたので、スマホを持って渋々出かけました。買い物を終わって車で家に戻っている途中に、会社のメール宛に辞令が来ていることに気づき、すぐにラインで情報を流しました。配置転換先はもちろん「営業局販売部」です。

以前に一度、自分のパソコン用メールから、会長宛に「この解雇に承服できない」というメールを出していたので、そちらに辞令が来ると思っていたのですが、会社の方のアドレスにメールが来ました。休んでいることを知りながら、わざと会社の方に送ったのでしょうか??いや、そこは深く考えていない気もします。辞令メールを待つ子持ちママさんにも「会社のメールをチェックしてみた方がいいですよ」と伝えると、すぐに「やっぱり来てました!営業局販売部でした」とのことでした。おっちょこちょいな人も、先日カラオケ雑誌への配置転換を断りましたから、自動的に彼女も「営業局販売部」でしょう。

これまで男性2人(外勤)、女性2人(内勤)だった営業局販売部に、一気に女性が4人増えることになります。現状の社内での座席を思い浮かべても、1人分の空席はありますが、残り3人の座る場所はありません。その販売部を一気に倍の人数にして、一体どうするつもりなのでしょう?w 思わず、女性社員が一気に増えて、騒々しくなった販売部を想像しますw カリスマさんも「みんな営業って辞令もウケるよね。婦人営業で『行ってまいりまーす』って、みんなで書店営業に出かけていくところを想像したら、おかしくなったよー」と言っています。まるで保険の外交員のようです。会長の、あまりにその場しのぎの対応がおかしくて、状況が面白すぎて、私自身の反論メールがなかなか進みませんw

そうこうしている間に、お昼前には弟弁護士さんからの訂正が入り、やはり回答期限は3/20までということが分かりました。回答期限もはっきりしたところで、再びメールに取り組みます。私としては、あの会社で書籍編集の仕事をすることには、まったく未練がありませんでした。この1ヶ月弱であまりにシラケてしまいました。でも、もし本当に会社を立て直すのに、私たちを編集から営業に回すことが、得策だと会長が考えているのならば、少しの間ぐらいはそれに乗っかってみてもいいかもしれないと思いました。しかし、給料を極端に下げられては困るので、そのあたりは私のメールの中で釘を刺しておこうと思いました。

当初の解雇予定日まであと4日

すぐに反撃のメール草案を考える

カリスマさんが強引に辞令を渡された日には、子持ちママさんと私には辞令のメールは来ませんでした。もともとの解雇の日付は3/20。解雇撤回にも同意できないのならば(労働局には、この場合は筋が通らないと言われたけれど)、もともとの解雇日付の前に、同意できない旨の意思表示をする必要がありました。

その日の夜には、カリスマさんから「一方的な解雇・解雇撤回・配置転換のすべてに同意できない」という内容の、会長宛メールの草案がラインで送られてきました。すでに、弟弁護士からの今回の配置転換に対する見解も出ていて、「法的には、キャリアや入社の際の説明の経緯などに照らして、合理性を欠く配置転換命令は、権利濫用として無効です」ということでした。カリスマさんも、鼻息荒く「フシャー!!」と威嚇する、よく分からない生き物のスタンプを送ってきました。弁護士が無効だといっているのならば、私も「フシャー!!」と反論したい!むしろ反論する機会を得るために、早く変な配置転換案が来ないかな~と思っていました。

引き続き叔父様からもアドバイスメールが到着しました。辞令が来ただけで、何も聞かされていないのならば、メールで聞くのはOKということ(本当は文書がいいそうです)。注意点としては、「メールは顔が見えない分、言葉がキツくなりがちなので、感情的にならず、後で裁判になったときに、第三者が見ても説得力があるようにすること」・・・・先日の某ユニオンで、カリスマさんと私が歯噛みしているのを見て、注意点の1番最初にコレを入れてくださいましたσ(^_^;)

全体の流れはOK、ただ、理由の説明もなく「合理性を欠く」とか、「私には必要のないキャリア」とか書かないこと。その他に聞いておくといいこととして、「なぜ4/20までは雑誌編集で、それ以降は営業なのか」「営業の仕事とはどのようなものなのか」「営業の労働条件」、あとは「回答の期日を必ず入れるように」というアドバイスがありました。これを受けてカリスマさんも「暴走気味の私なので、温厚風に嫌味満載で送る!」とメール案の練り直しにかかったようでした。

だんだん目指す方向が分かれてきた

子持ちママさんは、辞令がくればそのまま受け、K文書を提出して有休消化で自己都合退社と流れは決まっていました。この流れは、おっちょこちょいな人と同じです。子持ちママさんは、お子さんの保育園の都合上、失業保険を受け取る気はないので、もとから「会社都合」でも「自己都合」でもどちらでもよかったのです。ただ「溜まりに溜まった有休を消化したい」それだけが主張でしたから、解雇が撤回されたのは彼女にとってはよかったのかもしれません。

一方の私は、とりあえず会長の好き勝手にされるのはどうしても納得いきません。一応同意できない旨を伝えたいと思っていました。翌日は金曜日で、元々設定されていた解雇日の20日は祝日です。そのため、会長に異議を唱えるなら、出社しているであろう明日金曜日の夕方までには、メールを送る必要がありそうです。翌日はダンナが仕事休みで、子どもは午前中で学校から帰ってきてしまう日ですが、とにかく朝からメールに注意して、一刻も早く同意できない旨を伝えなくては!と思っていました。

あわただしくなってきた

ちょっと長めの春休み

3/16となり、ここに来て解雇が撤回され、どうやら私の長めの春休みも終わろうとしていました。この休みに入ってからは、可能な時は、近所の川沿いにある遊歩道を2.5kmほど歩き、その先にある大きな公園でポケモンのジム戦をして(笑)、また歩いて戻ってくる、ということをしていました。もちろん歩きながらもポケモンをゲットして、ポケストップを回しまくりましたw このポケGOウォーキングの前に「甘酒豆乳」を飲み、帰ってきたら「やせる作りおきおかず」の本を見て作ったおかずを食べました。そんなこんなと心労などで、この1ヶ月ほどで体重が2キロ弱減りました〜〜。でももっと痩せないと誰も気づかないよー(笑)

強硬手段を取ってきたぞ

さて、16日は午前中におっちょこちょいな人が出社して、カラオケ雑誌への配置転換を断ってから午後はお出かけ、カリスマさんも仕事を片付けるために出社している予定の日でした。おっちょこちょいな人のカラオケ雑誌への配置転換辞退の方は、とてもすんなりと会長が「了解」と言ったそうです。まあ、そうなるだろうと予想していたのでしょう。

しかし、カリスマさんに対しては、全然違う戦法で来ました。なんと、パソコンに向かって仕事をしている背後から近づき、いきなり辞令を手渡すという卑怯さ加減!全然笑えません。もうここまでくると呆れてしまいます。今までこの会社で辞令なんて見たことないのに!しかも中身がもっと無茶苦茶でした。「4/20までは書籍編集部として手芸雑誌を遅滞なく進めること。4/20以降は営業局販売部へ転属を命ずる」というような内容でした。

もう、カリスマさんは怒り心頭です。手芸雑誌が遅れ気味になってしまったのは、会長がいつまでも手芸雑誌編集の業務委託契約書を作成しなかったせいです。3/20付けで解雇と言われている人間が、それ以降の契約をまったく提示されないまま、引き続き同じように仕事をすると思っているのでしょうか。手芸雑誌が遅滞しているのは会長のせいです。

また、カリスマさんと一緒に編集を進めていたはずの編集局長さんも、なんだかピントがずれています。タダでさえ手芸には疎い人なのですが、カリスマさんから指示された連絡や確認をなぜか全然取らず、時折カリスマさんが出社した時にそれを指摘すると、あわててやり出す始末。もともと別冊や書籍の発行日をズルズルと伸ばすタイプでしたが、ここでもだらしなさを露呈していました。そして、その自分のルーズさで遅れているのに、「カリスマさんが、会長からの契約書が来ないと手芸雑誌の編集をやらないといってます」ぐらいな感じで泣きついたのでしょう。今回のことでは、この編集局長さんにも失望しました。

カリスマさんは、「もう会社へは行かない!今日のうちに仕事をやれるだけやって、明日からはメールだけで会長とやりとりする!」と憤っています。私たちも、手芸書籍の編集一筋20年のカリスマさんを販売部へって、どういうことだ~~!!(#ノー_ー)ノ彡┻━┻ という気持ちでいっぱいです。カリスマさんはその後に編集局長さんとも話したようですが、「もし配置転換になるなら、みんなの希望も聞いておきたい~」と先日は言っていたそうですが、ただそう勝手に言っていただけで、やはり会長からはとくに配置転換については相談されておらず、他のメンバーにも「まずはメールで配置転換の辞令を出すらしい」という情報だけ得ることができました。

 

2回目の某ユニオンへ

おっちょこちょいな人にフライングで配置転換の話が来てしまったので、急遽、彼女とカリスマさんと私で、2回目の某ユニオンへ相談にいきました。今回はカリスマさんの叔父様と、現役でバリバリに出版社と闘っていらっしゃるTさんも同席してくださいました。

Tさんがメインで相談は進み、おっちょこちょいな人が一通り説明をしました。それを聴いた上で、まず「書籍編集部のことは4人のことなんだから、4人でいっしょに話を聞いたり行動したりすること」「そして、配置転換の話にしても、4人で相談させろといって、すぐに返事しないこと」というアドバイスをもらいました。この翌日にはカリスマさんが1人だけ出社するので、そこでまた会長がカリスマさんだけに配置転換の話を持ちかける可能性がありますが「お話は4人で聞きます、といってみますね」と確認しました。

しかし、もうおっちょこちょいな人は「とにかく明日は、カラオケ雑誌への配置転換を断ります。その次はみんなで話を聞いて、そのときに書店営業へ回されるでしょうから、それも断って、残務整理をして有休を消化して退社します」とのこと。そういうことであれば、彼女にとって某ユニオンはあまり意味がありませんが、有給休暇を取りきるために、同じ時期にカラオケ雑誌の編集部を辞めたKさんから、「退職願」「退職日 決定通知書」「別紙 有給休暇、代休、その他について」と題された3つの書類のフォーマット(私たちは「K文書」と呼んでいるw)をもらっているので、これらを使って、こちらで書類を作り、提出することで正当な有給休暇を取得することが間違った方法ではないのか、確認していました。そのあたりの確認は、ユニオンではなくて労基署のような気もしますが、もう、みんなどこに相談するのかが、ごちゃごちゃになっています。

そして、会長に噛み付きたくて仕方がないカリスマさんと私は、その話し合いのときにどれぐらいのことを会長に対して言っていいのか、確認をしました。まず、冷静に仕事や実績の数字について反論するのはいいでしょうと。ただ「もう会長は信頼できない」とか「労働条件通知書を出してもらえないと困ります」というような言い方はしてはいけない。少なくとも解雇ではなくなって、引き続き社員なんだから、社員として経営者に下からお願いする態度を取らなくてはならない、というようなことで釘を刺されました(^▽^;)前日の会長の言葉に「キーーー!」となっていたカリスマさんと私は「言っちゃダメなの?」とガックリしました(笑)

叔父様にも「なにが目的でそんなこと言おうとするの?」と、何の目的もない、単に自分の憤りをぶつけたいがために、交渉の場で相手を罵るのはダメだと諭されました。カリスマさんも私も苦虫をかみつぶしたような顔をしていたかもしれません。Tさんも笑いながら「とりあえず解雇はなくなったんだから、いい話なんだよ。まあ、そうカッカカッカしなさんな」となだめます。なるほど、戦士は冷静にならなくてはいけないんですね・・・・

どんな配置転換になるのか・・・・

某ユニオンを出て、3人でちょっとお茶をしながら話すことになり、3人でドトールに入りました。あの「最後のランチ会」と言っていた時から、書籍のメンバーで一体何回?作戦会議としてランチやお茶をしたかわかりません。書籍を作っている間は、基本1人1冊なので、個人商店のような感じでしたが、ここに来てチームワークを発揮するという皮肉なことにw

今日の話題としては、どんな配置転換になるのか?・・・・常々、会長はカリスマさんに「新しく買い取った手芸雑誌の進行管理を、今後も引き続きやってもらいたい」と言っていました。業務委託を打診してきたときも、カリスマさんには手芸雑誌をお願いしたいと言っていました。カリスマさん自身も、きちんとした業務委託契約書が出てくれば、引き受けてもいいと考えていたのに、会長が一向に契約書を出してこないので、とうとう怒ってしまって、現在は手芸雑誌の仕事をボイコットしている状態です。

カリスマさんは手芸の書籍編集一筋20年です。手芸の大御所先生もたくさん知っています。このカリスマさんが関わらなくては、手芸雑誌を続けていくことは不可能でしょう。それは本人も分かっていて、某ユニオンでも「私は手芸雑誌に回されると思う」と話していました。

この新しく買い取った手芸雑誌は、外部の編プロがメインで編集制作しているのですが、その制作費が1号あたり○百万円かかっており、書籍の制作費の3倍近いお金がかかっています。はっきりいって、この手芸雑誌を買い取ったせいで、この間の年末のボーナスは出ませんでした。その割りに年間購読者は右肩下がりに減り続けており、現状はこれも赤字です。そこで、外部の編プロを切って、編集制作を社内ですべて行なう可能性がありました。書籍をほとんど出さないなら、社内DTPだって手が空いてしまいますから、これが1番の方法に見えます。

そうすれば制作費は半分ぐらいに抑えられるかもしれません。その場合は、手芸雑誌編集にカリスマさん+1~2人必要だと思われます。そうなると、私たちは意外にも何人かは一緒に手芸雑誌に配属されるかもしれません。それであれば、合理的な配置転換ですし、私とカリスマさんは会長に詰め寄る必要はなくなります。「意外とそんな決着になるかもしれない」この日の夕方は、そんな雰囲気に包まれていました。

おっちょこちょいな人も「会長の言ったことには怒りで震えましたけれど、口調はぼやきみたいな感じで、そんなに激しくはなかったですよ」と言い出し、カリスマさんも「会長の『根』は、そんなに悪い人ではないと思うよ」と言い出し、私は「そうなのか???」と混乱しましたが、まあ確かにそんなにヒドイ配置転換案は出てこないかもしれない。そんなことをすれば、なにより会社のためにならないし・・・・と思い直したりしました。

しかし、そんな考えは甘かったのです。

 

本当に汚いやつかもしれない

3回目の労働局へ

翌日、再び労働局に行って、以前に相談したTさんにも、この3週間にあったことを報告しました。やはり、申し入れをしておいて、撤回されたことに同意できないというのは筋が通らない。パワハラはあった時に相談するしかない。パワハラがあるかもしれない、という状態では労基署もなにもできない、ということでした。

社保の会社折半分を給料から3%天引きについても、年金事務所での顛末を話しました。ただ、メールには「1年の期限付きで」とされていたのが、その後も2年間以上にわたって引き続き天引きされており、その2年間分を取り返したいのであれば、それは「あっせん」の事例にあることだ、と言われました。30万でも取り返せるのならありがたいことです。ただ、あっせんには法的な拘束力がないので、会社が支払わない可能性もかなりあります。

その場合は、簡易裁判所の書記官宛に支払い督促を申し立てるということでした。しかしそれでも、会社側が「1年経過した後も黙って天引きさせていたんだから、社員も了承してたのでしょう。だから支払うつもりはないです」と言ってくる可能性もあるといいます。そうなったら、約30万円をめぐって泥沼の争いです。弁護士費用の足は出てしまうし、もう意地で裁判をやっているものだということです・・・・( ̄_ ̄ i)タラー

やはり無償なだけあって、労働局にできることには限りがあります。それは仕方ないんだろうと思います。もう少しタチのいい経営者だったら・・・・とにかく、うちの会社の会長は、辞める人間にはビタ一文払いたくないのです。それは会社の都合で辞めてもらいたい人間に対してもそうです。とにかくこの小さな会社を、現在30歳の息子になんとか手渡したい。そんな魂胆が見えます。そんなドロドロしたことを考えている私に、Tさんは「でも、そんなに嫌がらせをしようってことでもないかもよ。みんながいなくなったら困ると思ったのかも」と言いましたが、会社にお金がないことに変わりはなく、そんなほのぼのとしたものなのだろうか?と思いました。

バラバラに配置転換の話を持ちかけてきた

労働局のあと、会社の近くまで行っていたので、その日たまたま残務を片付けに出社していた、おっちょこちょいな人とお茶をすることになりました。あまり会社の近くだと誰かに見咎められる可能性があるので、少し離れたところで会う習性ができてしまいましたw

おっちょこちょいな人は、書籍編集部の中で1人だけ出社して仕事していたので、会長から夕方に話しがあると呼び出されているといいます。「本当にイヤなんですよ!私、もう自己都合で会社辞めますっていいます。だからなにも怖いものはないはずですよね」と心底うんざりしていました。最終的には自己都合でいいとしても、まずは「会社都合になりませんか」と交渉してみては?といいましたが、こんなにこじれているものを、そう簡単に首を立てに振るとは思えませんでした。でもそう言うしかない。「もう一息だからがんばって」とおっちょこちょいな人を励まし、彼女は会社へ、私は自宅へと戻りました。

 さて、会社の定時が終わる間際、おっちょこちょいな人からラインが入りました。「とにかくムチャクチャだー!」が第一声でした。「なになに?」「どうした?」「大丈夫なの?」とみんなラインに入ってきます。

とりあえず配置転換先はカラオケ雑誌ということでした。多分、彼女が一番若くてつぶしが利きそうだと思ったのでしょう。しかし、こんないきさつでカラオケ雑誌の方に行っても、もとからいる人たちにも失礼だし、私も気持ちよく仕事ができない。なので断るかもしれない、といったところ、「それなら書店営業だ」と言われたそうです。カラオケ雑誌の編集ならば、今までのキャリアに照らして合理的ではない、とはいえないでしょう。でも書店営業ならば、それは合理的とは言えず、配置転換命令が違法だと言えそうです。

しかし、彼女はどこへ配置転換になるのだとしても、もう会社を辞めることに決めているので、「会社都合になりませんか」という交渉をしたようですが、「もう解雇は撤回しちゃったからねえ」とのこと。解雇を撤回したって、会社都合にすることはできます。完全に足元を見られているように思えます。本当に、どこまでこちらを踏みにじれば気が済むのでしょうか。

さらに、彼女がいつもニコニコしているのをいいことに、会長は言いたい放題だったそうで、「書籍部から反省の言葉がまったく出てこないのが残念だったな。それに解散だと言った時に『どうしても本を作りたいんです』と反論してくる人もいなかった。だから、もういいやって思ったんですよ」とのこと。

もうそれを聞いて、私たちは怒りに震えました。それを言われた彼女も怒りに震えたそうです。なんの話をするのかまったくわからないまま集められて、なんの資料もない状態のところで、いきなり乱暴な話をしたくせに何を言っている!反論なら山ほどあるぞ!コテンパンに反論してやろうか!と私も怒りでめまいがしてしまいました。

さらに会長が「本作りには気持ちが大事なんですよ」と抜かしたとか!「お前の黒い心でなにが気持だ!」とカリスマさんも怒りをあらわにしています。もう、会長にいってやりたいことが山ほど思い浮かんでしまって、この状態で顔を見たら、ものすごい勢いで罵ってしまいそうでした。

とりあえず、おっちょこちょいな人の配置転換についての返事はあさってのお昼までに、ということなので、明日にでも某ユニオンの叔父様のところに相談に行こうということになりました。

打つ手はなくなったのか

こんな無茶苦茶が通るのか

喫茶店に集まった私たちは、しばし呆然としていました。子持ちママさんは元より有給休暇を取りきることさえできればいいので、自己都合で辞めて、有休を取りきるための手段を講じればよいということで、結構さっぱりとしていました。おっちょこちょいな人もまだ30代半ばで、解雇を言い渡された週のうちに、転職活動ですでに面接まで進んでいるところがあったぐらいなので、こちらも自己都合で辞めて、有休を取りきるための手段を講じればよい状態でした。

ギリギリと悔しがっているのはカリスマさんです。すぐさま弟弁護士と某ユニオンの叔父様に連絡をしますが、二人ともすぐには返事ができない状態です。私は、配置転換でどんな嫌がらせをされるのかと憂鬱ですが、だからといって何も悪くないのに自己都合で辞めるのには納得がいきません。それに転職先も決まっていませんので、今すぐにでも立ち去りたい会社ですが、そういうわけにも行かない状態でした。

スマホで「解雇撤回」を検索すると、「解雇撤回も労働者側の同意がなければ成立しない」という情報を見ました。それならば、解雇撤回に同意しないという意思表示を、いつまでにどのようにすればいいのでしょう?行き詰った4人が喫茶店で頭を突き合わせていてもしかたないので、とりあえず、これまでに相談にいった労基署と労働局へ相談に行くことになりました。

2回目の労働局へ

子持ちママさんとおっちょこちょいな人と私の3人は、労働局へ向かいました。残念なことに、子持ちママさんの担当のSさんも、私の担当のTさんも、この日はお休みでした。そこで、たまたま手が空いていた女性の担当者Iさんに相談することになりました。

まずは、会社から出た書類、こちらから出した書類を見せて説明します。すると、「解雇が不当だと申し入れて解雇が撤回になったのに、その撤回に同意できないというのでは、補償金を取ることはできないかもしれない」と言われました。しかし、これだけ社員を「解雇だ」→「やっぱり解雇はなしにする」とひどく引っ張りまわしておいて、なんのお咎めもないなんて納得いきません。しかし、こればかりはどうにもならないということでした。

自己都合で辞めるつもりの2人には、もう一度会社側に「解雇は撤回になりましたが、会社も大変でしょうし、私たちを辞めさせたいことはよくわかりました。それならば会社都合ということにしていただければ、有休を消化した日付で退職します」という交渉をしてみてはどうか、というアドバイスがありました。法定の有休を取りますといったところで、その分の給料がきちんと支払われるのかは不安ですが、もし支払われなかった場合は、やはり労基署に訴え出るしかありません。

配置転換はいやがらせ的な配置になることはまず間違いないと思われますが、それも配置されて見なければわかりません。もし嫌がらせがあれば、そのときはやはり労基署に訴え出るしかないわけです。

この担当をしてくれたIさんも、私たちの申し入れ書を見て「この最後のところはもうちょっと違うふうに書けば・・・・」と言っていましたが、後の祭りですし、少し言葉尻を変えたぐらいでは、やはりこの事態になっていたと思います。私が「もし、この配置転換ありきの解雇撤回は同意できないと表明して、あくまで『解雇で結構です』という態度で会社に行かなかったらどうなりますか?と聞くと、「下手をすると懲戒解雇を出されることもありえます。以前にそういう事例があって、結構大変でした」とのことで、これも使えません。「とにかく、解雇を撤回されてしまうことが、一番やっかいです。申し入れをするのは諸刃の刃なんですよね」とIさんは気の毒そうに言いました。

労基署に行ったカリスマさんの方は、ものの5分で相談が終わってしまい、「そうなったら粛々と仕事を続けるしかない」と言われたそうです。もちろん、パワハラや給料の大幅な減額などがあれば、そのときは訴え出てくださいというスタンスでした。

最後の頼みの綱は

その日の帰り道は「まいったなぁ」という言葉しか出てきませんでした。本当にまいりました。でも悔しいので、自己都合で辞めるのは絶対イヤだ。それにしても「とにかく、まいった」というのを行ったり来たりしていました。会長との打ち合わせは、今回もものの5分だったのですが、その後の対策を練ったり、相談に行ったりでグッタリと疲れてしまいました。夕飯を作っていても心ここにあらずです。一体どうすればよかったのだろう?とも考えてしまいます。

そんなとき、弟弁護士さんから返事があったとカリスマさんからラインが入りました。弟弁護士がいうには、やはり「解雇が撤回になったら、解雇はないんだから補償金を取るのは無理。撤回に同意しないといってもいいが、その場合は解雇予告手当ての2日分(2月は28日しかないため、1ヶ月前に予告したつもりだったようだが、30日には2日足りなかった)しか取れない」ということでした。なるほど、確かにおっしゃるとおり・・・・弁護士さんにもこの状況はどうにもできないのだとわかり、さらに絶望しました。

しかしその1時間後に、今度は某ユニオンの叔父様から連絡があったとかで、叔父様がいうには「これは無理だと会社は判断して撤回してきたね。こうなればまだまだ時間はあるし、策もあるからジックリ行きましょう」ということでした。いったいどんな策があるのかまるでわかりませんが、この言葉にどれだけ救われたか!たしかに、こうなったら某ユニオンの方が得意な流れかもしれません。手っ取り早く効率よくどころか、会社都合なのに会社都合が取り付けられない状況なので、じっくりやるしかないのでしょう。

まったく予想がつかないことばかり

週末に回答を想定し対応を決めておく

3/9~3/12までの週末は、うちの子どもの少し早めの誕生日会をしたり(本当は3/13)、引き続き転職活動をしたりしました。このまま3/20で解雇となれば、正社員の身分はあと1週間ほどしかありません。しかし、私が探し始めたときの目ぼしい求人は、締め切り間近のものが多く、駆け込みで「正社員」や「正社員登用あり」の求人に応募はしましたが、年齢がアラフィフということもあって、すべて書類で落ちました。まあ私が考えてみても、正社員を募集していて、35歳の人と47歳の人が応募してきたら、とりあえず35歳の人と会おうと思うでしょう。しかも、出版関連の求人の応募は大変な競争率です。しかし幸いなことに求人の数は多いので、諦めずに応募し続けることにし、派遣会社への登録もしようと考えました。

申し入れ書を出したということで、通常ならば会社側は「訴えられてしまったら、敗訴するのは間違いない。裁判で給料の半年~1年分を請求されたら大変だ」ということになり、「給料○ヶ月分と有休の消化、会社都合ということで退職してくれないか」というような相談(勧奨退職)を持ちかけてくるはずです。普通の会社なら、さきに勧奨退職を促すところです・・・・。叔父様からも「だいたいどのぐらいの条件で手打ちとするか、みんなそれぞれに妄想して考えておいたほうがよい」とアドバイスがありました。

私が迷うのは「給料1ヶ月分と有休消化、会社都合退職」ぐらいの条件で手打ちにするかです。これが「給料2ヶ月分だったら手を打つんだけれど、1ヶ月分じゃあ、ちょっとな・・・・」と思っていました。でも、「1ヶ月分じゃあちょっとな。やっぱり争うか」とやっている間に、会長がいうように会社が潰れてしまうかもしれない、という恐れもありました。労働審判ならば2ヶ月ほどで決着すると聞きましたが、その2ヶ月すらも危ないかもしれない。それであれば、低めの条件だけれど早めに手打ちにしておく、というのもありだと思えます。

みんなもそれぞれ妄想します。おっちょこちょいな人が「ごめんね料として給料○ヶ月分じゃなくて、3万円とか言い出しそうじゃないですか?」なんて言います。カリスマさんも大ウケして「そんなん出てきたら、『本当に弁護士に相談したんですか?』『それ、マジで弁護士さん?』て聞いちゃうよ!」と言っていました。まあ、会長っていうのはそれぐらい言いそうなドケチです(笑)。みんなそれぞれ、どの条件なら手打ちにするのかを考えて、納得できなければ、そこからは争いだということになりました。

おっちょこちょいな人が「これで給料3ヶ月分出すから・・・・って言ってきたら、会長のこと尊敬しちゃいますね。もしそうなったら、千疋屋にパフェ食べに行きましょうよ!」「私はフルーツサンドがいい!」「それもいいねえ」などと4人でライン上で盛り上がります・・・・。そんな中、子持ちママさんが「まさか解雇撤回しませんよね?」と不安を口にします。私たちは、表向きは「不当解雇だ!」といいながらも、ここ1ヶ月弱の会長からの対応ですっかり嫌気がさし、会長や会社への信頼をすっかりなくしました。もうなるべく早くこの会社との関係を断ち切りたいという気持です。カリスマさんはきっぱりと「とにかく、融資がうまく行かなくて、お金がなくて、人を減らしたくて仕方がないんだから、撤回はありえないよ」と言い放ちました。

はてさて会社(というか会長)の回答は・・・・

会長と私たちの間でこのようなややこしい攻防が繰り広げられていたことを、他の社員が知る由はまったくありません。もちろん、業務委託の話をつっぱねてパワハラにあっている営業の男性にはラインである程度知らせていましたが、会社ではお互いのためにそ知らぬふりです。交渉相手は会社というよりは、74歳の会長たった1人。ただ後ろには腹黒い弁護士と、腹黒い税理士がついています。

やや緊張の面持ちで、会長の待つ打合せ室に4人で入りました。会長の手元には、それほど行数の多くない文章が書かれた紙が、4枚置かれているように見えます。

会長が口を開きました。「先日みなさんから、この解雇について異議があるという文書を受け取りましたので、今回の解雇は『撤回』します」

・・・・・みんな絶句です。まさかまさかの解雇撤回です。こんなことがあるんでしょうか・・・・。会長は、手元にあった解雇撤回の書面を私たち4人に配りました。

さらに会長は続けました。「ただし、書籍部門が赤字で、このまま存続させることができないことは変わりません。そこで、みなさんの配置転換をします。どの部署に配置転換するかは、ここ1週間以内に決めて、みなさんにお知らせします」ということでした。

まさかの展開に、いろいろ準備していたはずの言葉はすべて無用になりました。でもなにか言わなくては、このままでは会長のやりたい放題ではないか。

「では、2900万円の赤字があるという理由での解雇だったのに、本当は人員削減は必要なかったということですか?」となんとか質問をひり出しましたが、「いや、みなさんがこの解雇はおかしいというから、それを撤回しただけです」という、なんとも人を食ったような、ふざけた回答が返ってきました。

カリスマさんも「でも労働局からは、解雇通告後の配置転換は、解雇回避努力にあたらないと言われましたけれど」と質問をぶつけます。すると「だから、『解雇撤回』です。解雇はなくなりました」と答えました。

みんな、変なものを無理やり飲み込まされたみたいな、いや~な感じの表情になり、そのまま話し合いは終了となったので、打ち合わせ室を後にしました。そして誰が言うともなく順番に会社を出て、とりあえず外の喫茶店に集まることにしました。