最後の反論メール

かつて、こんなに推敲を重ねたことがあっただろうか

私はというと、お昼前からパソコンに向かって、せっせと「解雇、解雇撤回、配置転換に承服できないメール」を打ち込んでいました。全体の流れはカリスマさんの草案に沿いつつも、丁寧に、承服できない理由やその法的根拠、どういうことを答えてもらいたいのか、具体的な例を挙げたり、説明によっては「配置転換にも納得はするよ?」という姿勢も盛り込んでみました。

私が懸命にメールを打っている間にも、子どもが学校から帰ってきてしまい、「お昼に高級ハンバーガーを食べに行こう!」などと盛り上がっています。これだから、家に家族がいると、どうも締まりません。できれば、会長が昼休み(だいたい13~14時ごろ)から戻った時にはメールを届けておきたいところですが、それにはちょっと間に合いそうにありません。

パソコンで打っていたメールを今度はスマホに移し、車の中でもひたすら読み返して、抜けている部分や隙がないかをチェックします。高級ハンバーガーを食べている間もそんな調子で、ハンバーガーをなんとか口に押し込むのが精一杯。とてもじゃないけれど、味わっている余裕はありません。ダンナに「ハンバーガーを食べろよ」とからかい半分にいわれると、「お父さんは、お母さんが今回のことで不利になってもいいわけ?!」とマジ切れする始末。それぐらい苛立っていました。

今日は解雇予告日前の最後の平日で、しかも金曜日。金曜日は会長が出かけたついでにそのまま会社に戻らないことも多いため、「一刻も早くメールを送らなくては!」と焦ります。そんな私の焦りなどまったく意に介さないダンナは、ハンバーガー屋の後も自分の用事を済ませるために2件ほど立ち寄った挙句に、ようやく午後2時半過ぎに家に戻ることができました。再びスマホから自宅のパソコンにメール文を移し、大きな画面で最後の推敲をします。もう何回読み返したかわかりませんし、こんなに長いメールを出すのは初めてです。ワードのデフォルトの文字数でA4用紙にびっしりと2ページ弱ありました。

3時間を費やしたメールへの返事は・・・

さて、間もなく午後3時というころになって、やっと自分のメール文に納得がいき、早速送ろうと思いました。しかし、会長がちゃんとこのメールを今日のうちに見るのかどうか、ふと不安になります。以前に個人個人で会長宛に出した「今回の解雇に承服できないメール」の時に、子持ちママさんがメールした後に電話をして「メールはご覧になりましたか?」と会長に尋ねると、「まだ見ていない」という返事が返ってきたということがあったので、「そんなごまかしをするかも」と不安になります。するとダンナが「開封確認をつければいいんじゃない?」と言ってきました。「そうか、開封確認があったね」と私もすぐに開封確認の付け方を調べました。

しかし、なんだかテンパっている時というのは、普段やりつけない手順をすっ飛ばしてしまうものです。気がついたら、開封確認をつけずに、普通にメールを送ってしまっていました。「あらら」と気がついて、今度は開封確認をつけ、さらに中のメール文にも「先ほどは開封確認を付け忘れたため、念のため、再度同じメールをお送りします」と文章を追加して送りました。

すると、開封確認のメールではなく、会長から1回目のメールに対して返事がありました。タイムスタンプは1回目のメールが送信された5分後です。内容はこうでした。

「○○です。

辞令以外には何も申し上げることがありません。」

こちらが3時間を費やして練り上げたメールにこの誠意のない返信。これは本当に腹が立ちました。もちろん全部に完璧に答えるのは不可能なのは分かっています。しかし、答えられる範囲で答えて欲しかった。メールで答えられないのならば、土曜でも日曜でも、こちらが会社に出向いてでも説明をしてもらえたなら、それでも良いと思っていたのです。しかし、会長はこちらに対して真面目に対応する気はまったくないようでした。