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まずは軽い応酬から

通勤電車のなかで開き直る

3月1日から始まった、有休消化による長い春休みは終わってしまいました。春休みとはいっても、毎日のように労働関連で関係各所へ相談に行ったり、状況が変わるたびに、どこかにツッコミどころはないかと、ネットで調べたりしていました。その一方で転職活動のために職務経歴書をまとめ、各転職サイトに登録して、よさげな求人を探し出し、記載されている会社名で口コミを調べて、いい感じならば応募する、ということをしていました。なので・・・・あまり休んだ気はしません(-_-;

それでも、朝はポケGOウォーキングをしたり、学校から帰ってきた子どもの話し相手をしたり、普通のご家庭と同じような時間に夕ご飯を食べたりと、会社からは干されて、まるで島流しになっているような状態でしたが、それなりに暮らしを楽しんでいました。しかし、そんな日は長くは続かず、久しぶりの会社への出勤は、島流しから、突然に敵将の城に引きずり出されるような、そんな気持ちになっていました。

他の社員からすれば、私を含めた書籍編集部の面々は、部署が解散になって解雇され、そのために有休消化をしているんだと思っているでしょう。そこへノコノコと出社するわけですから、私としてもなんと挨拶したらよいのやらわかりません。しかし、こちらは何も悪いことはしておらず、会長が一方的に二転三転させた挙句のこの事態です。だれかに「どうして出社しているの?」と聞かれたら、これまでのいきさつを全部しゃべってやればいい!と、通勤電車に乗っている間に開き直ることができました。

会社の中は不気味に平常を保っていた

会社に着くと、同じシマに座っている季刊の小動物雑誌の編集長さんがとても心配そうな顔で「みんなどうしちゃったかと思って」と声をかけてくれました。私も「後で詳しくお話します」と答えました。始業時に書籍編集部のシマにいたのは私だけでした。おそらく後から、おっちょこちょいな人がやってくるでしょう。今日は彼女が、会長にK文書を提出して、自己都合でもなんでも、とにかく有休を消化して退職させてくれと交渉する日でした。

私のほうは、とりあえず販売部での仕事の説明があるまでは、書籍編集部の残務を片付けようと、これまでにかかわりのあった著者や材料提供をしてくれたメーカーさんなどに、書籍編集部の解散と私自身の営業局への異動、そして、新たな書籍の企画は会長宛に提案して欲しいことと、追加で書籍を購入したい場合の窓口の案内をメールで送ることにしました。本当は3/20の解雇までにメールをするつもりだったのですが、情勢が非常に流動的だったため、引継ぎメールも出せない状態でした。あらかじめネットで見つけた例文を自分用に書き直して、名前だけ差し替えて次々と送りました。後にこのメールがきっかけで、会長とのバトルへ突入するわけですが(笑)

午前中のおっちょこちょいな人と会長の話し合いは、順調に和やかに進んだようです。というよりも、おっちょこちょいな人は、もうこれ以上会長と話したくないということで、代休は別途申請を済ませ、有休は会社基準の「9日間」だけを申請し、販売部での仕事は、3/21に発行になった料理本の販促活動として、ポップを作ったり、書店でのちょっとしたプロモーション活動やイベントなどをやるということで、ほとんど書籍編集部の雑務のみをやって、有休を消化しつつフェードアウトする、という計画書を作り、会長に了承をもらったようです。

あまり揉めたくなかったこともあり、「退職願は書きましたが、できれば会社都合にしてほしいです。ご検討下さい~」という感じで、要望はふんわりと伝えたようです。彼女とお昼へ一緒に行きましたが、ともかく無事にドロ舟脱出が決まり、心底ほっとしているようでした。戦線離脱してほっとしている様子の彼女を見ていると、少し羨ましくもありましたが、自分は自己都合では絶対辞めないぞと、兜の緒を締めなおしました。

やや遅めのランチから戻ると、会長から打ち合わせ室に呼び出されたので、胸ポケットにICカードを仕込み、腰ポケットにはマイク側を上にしたiPhoneを忍ばせて、ゆったりと打ち合わせ室に向かいました。

営業局販売部への転属について説明

まずは会長から「営業局販売部への異動を受けてもらいたいと思う」と少し言葉を切りながらですが、言われました。私としては今回の異動について、こちらの質問に一言も答えてもらっていないので、納得はできていないと答えました。ただ、会社から辞令が出た限りは、言われたところに行くしかないと思っているので、とりあえず指示に従います、と答えました。

会長からの指示としては、3/24(金)までは書籍編集部の残務をすること。勤務時間も編集部と同じで、席も現在の書籍編集部の席のままでよいとのこと。そして、3/27~31の1週間は、いつも本の在庫を置いている倉庫会社の、埼玉にある倉庫へ研修に行くこと。4/3(月)からは書店営業に回ってもらう、ということでした。会長がなにか一言いうと、私もそれを復唱し、ノートに丁寧に記述していきました。倉庫での研修や4/3からの書店営業についての細かな質問は、半年ほど前に、前田さんの少し後に入社してきた通称「黒い雨」に尋ねるように・・・・ということでした。

とりあえずの会長への質問として「4/3からは、席は営業局販売部の方へ移動になるんですか」と尋ねました。すると会長は「いや、今のままでいいです。Yさん(おっちょこちょいな人)は辞めるそうだけれど、まだIさん(子持ちママさん)がどうするか分からないから。いずれにしても、席は今のままで。営業に出るようになれば、そんなに自分の席にはいないでしょうし」と答えてきました。でも、それはちょっとおかしな話だなと、会長が話すのを聞きながら思いました。子持ちママさんが販売部への異動を受けるはずがないのに、なんだか誤魔化しているようです。

次に営業の仕方やノルマについて尋ねました。書店営業はどれぐらいの範囲(首都圏とか関東地方とか)を行なうのか、ローラー作戦的に片っ端から攻めていくのか、それともあたりが良さそうな書店に何度か通うようにするのか、どの本を重点的に案内するかなどなどです。しかし、会長はこれらの質問には「営業のことはよく分からないから」とほとんど答えませんでした。ただ、「効率よく、かけた交通費に見合った注文数が取れるように」などと言うので、「まあ、私は営業の素人ですから、どこまでできるものか分かりませんがね」とふてぶてしく答えましたw

ほぼ話が終わった頃、会長から「ところで、あなたともう1人は、すでに就職先が決まっていると聞いたんだけれども」と言ってきました。そのときは、本当にまったく次のあてが決まっていない状態だったので、心底「へ?誰がそんなこと言ってるんですか?」と素で返事をしてしまいました。すると「それは誰とは言えないけれど・・・・ほら、カラオケ雑誌の方で人を募集しているでしょ?その関係で・・・・」などと言い出しましたが、この辺はまったく意味不明でした。あとから考えると、今回のことを知っているのはごく一部の人だけだし、そんなことを言いふらす人がまったく思い浮かびません。単にカマをかけてきただけなのでしょう・・・・だとしても意味不明ですが。

理不尽な辞令を自分で張り出す・・・・

とりあえず、来週以降の細かいことは「黒い雨」に聞くしかありません。この「黒い雨」は、ずっと手芸分野の雑誌などに関わってきたようですが、この会社にやってきた当初から、ものの言い方が断定的で、55歳という年齢的なものもあり、妙に説得力がありました。会長もこの「黒い雨」に頼りきっている感じで、新しい書籍の企画を出しても、会長では決められずに、最終的にはこの「黒い雨」がGOサインを出す形になっていました。

しかし、頭ごなしに「こんなのは売れない」とか「出してもいいけれど、取次ぎに案内しない」などと、言うことが乱暴で、その割りに本人の出してくる企画にセンスがなく、装丁についてもトンチンカンな指示を出してくるので、私たちは「あの人をあんなに信頼しきって大丈夫なのかしら」と危惧していました。そんな人に、これからは指示を仰がなくてはならないのは癪ですが、「黒い雨」は週末に出張に出てしまうということでしたので、明日の午前中には倉庫研修と書店営業についての質問書を渡さなくてはならないと思いました。

とにかく、決戦の初日でハッキリとわかったことは、会長は今回のことはほとんど社内の誰にも相談していないし、書籍編集部の面々を解雇撤回の上、営業局販売部へ転属させたことを、社内であまり目立たせたくないのだろうな、ということでした。そこで、会長と「黒い雨」が打ち合わせ室でなにやら密談している間に、その日もらった社判が押されている正式な辞令を、自分でカラーコピーし、エレベーター脇の掲示板に張り出してやることにしました。こんな辞令、みんなもこの会社では初めて見るに違いありませんw それに、辞令は発表されたら張り出されるものですw 今回の理不尽な異動を、他の社員にも知らしめてやろうと思いました。