打つ手はなくなったのか

こんな無茶苦茶が通るのか

喫茶店に集まった私たちは、しばし呆然としていました。子持ちママさんは元より有給休暇を取りきることさえできればいいので、自己都合で辞めて、有休を取りきるための手段を講じればよいということで、結構さっぱりとしていました。おっちょこちょいな人もまだ30代半ばで、解雇を言い渡された週のうちに、転職活動ですでに面接まで進んでいるところがあったぐらいなので、こちらも自己都合で辞めて、有休を取りきるための手段を講じればよい状態でした。

ギリギリと悔しがっているのはカリスマさんです。すぐさま弟弁護士と某ユニオンの叔父様に連絡をしますが、二人ともすぐには返事ができない状態です。私は、配置転換でどんな嫌がらせをされるのかと憂鬱ですが、だからといって何も悪くないのに自己都合で辞めるのには納得がいきません。それに転職先も決まっていませんので、今すぐにでも立ち去りたい会社ですが、そういうわけにも行かない状態でした。

スマホで「解雇撤回」を検索すると、「解雇撤回も労働者側の同意がなければ成立しない」という情報を見ました。それならば、解雇撤回に同意しないという意思表示を、いつまでにどのようにすればいいのでしょう?行き詰った4人が喫茶店で頭を突き合わせていてもしかたないので、とりあえず、これまでに相談にいった労基署と労働局へ相談に行くことになりました。

2回目の労働局へ

子持ちママさんとおっちょこちょいな人と私の3人は、労働局へ向かいました。残念なことに、子持ちママさんの担当のSさんも、私の担当のTさんも、この日はお休みでした。そこで、たまたま手が空いていた女性の担当者Iさんに相談することになりました。

まずは、会社から出た書類、こちらから出した書類を見せて説明します。すると、「解雇が不当だと申し入れて解雇が撤回になったのに、その撤回に同意できないというのでは、補償金を取ることはできないかもしれない」と言われました。しかし、これだけ社員を「解雇だ」→「やっぱり解雇はなしにする」とひどく引っ張りまわしておいて、なんのお咎めもないなんて納得いきません。しかし、こればかりはどうにもならないということでした。

自己都合で辞めるつもりの2人には、もう一度会社側に「解雇は撤回になりましたが、会社も大変でしょうし、私たちを辞めさせたいことはよくわかりました。それならば会社都合ということにしていただければ、有休を消化した日付で退職します」という交渉をしてみてはどうか、というアドバイスがありました。法定の有休を取りますといったところで、その分の給料がきちんと支払われるのかは不安ですが、もし支払われなかった場合は、やはり労基署に訴え出るしかありません。

配置転換はいやがらせ的な配置になることはまず間違いないと思われますが、それも配置されて見なければわかりません。もし嫌がらせがあれば、そのときはやはり労基署に訴え出るしかないわけです。

この担当をしてくれたIさんも、私たちの申し入れ書を見て「この最後のところはもうちょっと違うふうに書けば・・・・」と言っていましたが、後の祭りですし、少し言葉尻を変えたぐらいでは、やはりこの事態になっていたと思います。私が「もし、この配置転換ありきの解雇撤回は同意できないと表明して、あくまで『解雇で結構です』という態度で会社に行かなかったらどうなりますか?と聞くと、「下手をすると懲戒解雇を出されることもありえます。以前にそういう事例があって、結構大変でした」とのことで、これも使えません。「とにかく、解雇を撤回されてしまうことが、一番やっかいです。申し入れをするのは諸刃の刃なんですよね」とIさんは気の毒そうに言いました。

労基署に行ったカリスマさんの方は、ものの5分で相談が終わってしまい、「そうなったら粛々と仕事を続けるしかない」と言われたそうです。もちろん、パワハラや給料の大幅な減額などがあれば、そのときは訴え出てくださいというスタンスでした。

最後の頼みの綱は

その日の帰り道は「まいったなぁ」という言葉しか出てきませんでした。本当にまいりました。でも悔しいので、自己都合で辞めるのは絶対イヤだ。それにしても「とにかく、まいった」というのを行ったり来たりしていました。会長との打ち合わせは、今回もものの5分だったのですが、その後の対策を練ったり、相談に行ったりでグッタリと疲れてしまいました。夕飯を作っていても心ここにあらずです。一体どうすればよかったのだろう?とも考えてしまいます。

そんなとき、弟弁護士さんから返事があったとカリスマさんからラインが入りました。弟弁護士がいうには、やはり「解雇が撤回になったら、解雇はないんだから補償金を取るのは無理。撤回に同意しないといってもいいが、その場合は解雇予告手当ての2日分(2月は28日しかないため、1ヶ月前に予告したつもりだったようだが、30日には2日足りなかった)しか取れない」ということでした。なるほど、確かにおっしゃるとおり・・・・弁護士さんにもこの状況はどうにもできないのだとわかり、さらに絶望しました。

しかしその1時間後に、今度は某ユニオンの叔父様から連絡があったとかで、叔父様がいうには「これは無理だと会社は判断して撤回してきたね。こうなればまだまだ時間はあるし、策もあるからジックリ行きましょう」ということでした。いったいどんな策があるのかまるでわかりませんが、この言葉にどれだけ救われたか!たしかに、こうなったら某ユニオンの方が得意な流れかもしれません。手っ取り早く効率よくどころか、会社都合なのに会社都合が取り付けられない状況なので、じっくりやるしかないのでしょう。

まったく予想がつかないことばかり

週末に回答を想定し対応を決めておく

3/9~3/12までの週末は、うちの子どもの少し早めの誕生日会をしたり(本当は3/13)、引き続き転職活動をしたりしました。このまま3/20で解雇となれば、正社員の身分はあと1週間ほどしかありません。しかし、私が探し始めたときの目ぼしい求人は、締め切り間近のものが多く、駆け込みで「正社員」や「正社員登用あり」の求人に応募はしましたが、年齢がアラフィフということもあって、すべて書類で落ちました。まあ私が考えてみても、正社員を募集していて、35歳の人と47歳の人が応募してきたら、とりあえず35歳の人と会おうと思うでしょう。しかも、出版関連の求人の応募は大変な競争率です。しかし幸いなことに求人の数は多いので、諦めずに応募し続けることにし、派遣会社への登録もしようと考えました。

申し入れ書を出したということで、通常ならば会社側は「訴えられてしまったら、敗訴するのは間違いない。裁判で給料の半年~1年分を請求されたら大変だ」ということになり、「給料○ヶ月分と有休の消化、会社都合ということで退職してくれないか」というような相談(勧奨退職)を持ちかけてくるはずです。普通の会社なら、さきに勧奨退職を促すところです・・・・。叔父様からも「だいたいどのぐらいの条件で手打ちとするか、みんなそれぞれに妄想して考えておいたほうがよい」とアドバイスがありました。

私が迷うのは「給料1ヶ月分と有休消化、会社都合退職」ぐらいの条件で手打ちにするかです。これが「給料2ヶ月分だったら手を打つんだけれど、1ヶ月分じゃあ、ちょっとな・・・・」と思っていました。でも、「1ヶ月分じゃあちょっとな。やっぱり争うか」とやっている間に、会長がいうように会社が潰れてしまうかもしれない、という恐れもありました。労働審判ならば2ヶ月ほどで決着すると聞きましたが、その2ヶ月すらも危ないかもしれない。それであれば、低めの条件だけれど早めに手打ちにしておく、というのもありだと思えます。

みんなもそれぞれ妄想します。おっちょこちょいな人が「ごめんね料として給料○ヶ月分じゃなくて、3万円とか言い出しそうじゃないですか?」なんて言います。カリスマさんも大ウケして「そんなん出てきたら、『本当に弁護士に相談したんですか?』『それ、マジで弁護士さん?』て聞いちゃうよ!」と言っていました。まあ、会長っていうのはそれぐらい言いそうなドケチです(笑)。みんなそれぞれ、どの条件なら手打ちにするのかを考えて、納得できなければ、そこからは争いだということになりました。

おっちょこちょいな人が「これで給料3ヶ月分出すから・・・・って言ってきたら、会長のこと尊敬しちゃいますね。もしそうなったら、千疋屋にパフェ食べに行きましょうよ!」「私はフルーツサンドがいい!」「それもいいねえ」などと4人でライン上で盛り上がります・・・・。そんな中、子持ちママさんが「まさか解雇撤回しませんよね?」と不安を口にします。私たちは、表向きは「不当解雇だ!」といいながらも、ここ1ヶ月弱の会長からの対応ですっかり嫌気がさし、会長や会社への信頼をすっかりなくしました。もうなるべく早くこの会社との関係を断ち切りたいという気持です。カリスマさんはきっぱりと「とにかく、融資がうまく行かなくて、お金がなくて、人を減らしたくて仕方がないんだから、撤回はありえないよ」と言い放ちました。

はてさて会社(というか会長)の回答は・・・・

会長と私たちの間でこのようなややこしい攻防が繰り広げられていたことを、他の社員が知る由はまったくありません。もちろん、業務委託の話をつっぱねてパワハラにあっている営業の男性にはラインである程度知らせていましたが、会社ではお互いのためにそ知らぬふりです。交渉相手は会社というよりは、74歳の会長たった1人。ただ後ろには腹黒い弁護士と、腹黒い税理士がついています。

やや緊張の面持ちで、会長の待つ打合せ室に4人で入りました。会長の手元には、それほど行数の多くない文章が書かれた紙が、4枚置かれているように見えます。

会長が口を開きました。「先日みなさんから、この解雇について異議があるという文書を受け取りましたので、今回の解雇は『撤回』します」

・・・・・みんな絶句です。まさかまさかの解雇撤回です。こんなことがあるんでしょうか・・・・。会長は、手元にあった解雇撤回の書面を私たち4人に配りました。

さらに会長は続けました。「ただし、書籍部門が赤字で、このまま存続させることができないことは変わりません。そこで、みなさんの配置転換をします。どの部署に配置転換するかは、ここ1週間以内に決めて、みなさんにお知らせします」ということでした。

まさかの展開に、いろいろ準備していたはずの言葉はすべて無用になりました。でもなにか言わなくては、このままでは会長のやりたい放題ではないか。

「では、2900万円の赤字があるという理由での解雇だったのに、本当は人員削減は必要なかったということですか?」となんとか質問をひり出しましたが、「いや、みなさんがこの解雇はおかしいというから、それを撤回しただけです」という、なんとも人を食ったような、ふざけた回答が返ってきました。

カリスマさんも「でも労働局からは、解雇通告後の配置転換は、解雇回避努力にあたらないと言われましたけれど」と質問をぶつけます。すると「だから、『解雇撤回』です。解雇はなくなりました」と答えました。

みんな、変なものを無理やり飲み込まされたみたいな、いや~な感じの表情になり、そのまま話し合いは終了となったので、打ち合わせ室を後にしました。そして誰が言うともなく順番に会社を出て、とりあえず外の喫茶店に集まることにしました。

某ユニオンに行ってみた

叔父様が某ユニオンの元役員!

年金事務所でガッカリしてしまった私ですが、この日はもう1件立ち寄る予定になっていました。それはこの業界の某ユニオンです。別に伏せる必要はないかもしれませんが、一応は全面解決するまでは伏せておいてみます。

実は、カリスマさんのお父さん方の叔父様が、その某ユニオンで役員まで勤め、今は引退したものの、まだ週2日で相談員をやっているというのです。カリスマさんの家族・親族っていったいどうなっているんでしょう?弟は弁護士で叔父様は某ユニオンの元役員ですって。カリスマさん本人も「だから、どうしても世の中なめちゃうんだよね」なんて笑いながら話していました。いやいや、それだけの後ろ盾がついていたら、そりゃあ世の中なめちゃいますよ。

カリスマさんのお父さんは、カリスマさんがまだ幼児のころに病気でなくなってしまったとのことで、叔父様とは子どもの頃に何度かと、10年近く前に亡くなったお祖母ちゃんのお葬式で逢ったぐらいで、これまでほとんど交流がなかったといいます。ただ、カリスマさんのお母さんが「叔父さんなら、なにか助言してくれるかもしれない」とアドバイスしてくれたというので、とにかくいろいろな方向から今回の問題についてアドバイスが欲しいと私も思い、カリスマさんと2人で話をしに行くことになりました。

その前日に、某ユニオンのホームページを見たのですが、とにかく闘いの歴史でしたね。なんだか久々に、こんなに闘志みなぎるホームページを見た気がします。しかし、私たちはチャチャッと手間なく、効率よく、弁護士さんにお願いして、なるべくいい条件での退職を取り付けることが目的でしたから、某ユニオンとは異質な気がしていました。それでも、叔父様もいるし、労働問題関係には詳しいと思われたので、とりあえず話を聞いてみることにしました。

まずは、この「解雇は不当だ」との申し入れをすること

カリスマさんの叔父様は、私が前もって見ていたホームページの印象とはまったく逆で、70歳を超えているというのもあるでしょうが、とても穏やかな印象の方でした。カリスマさん自体が物事を白黒つけないと気がすまない、ズケズケと物を言うタイプなので、かなり性格が違うなあ・・・・と思ってしまいました。

一通りカリスマさんが説明すると、叔父様は、「まず、必ず4人で一致した行動をすること。会社は数がまとまっているだけで怖いと思うはずだから」といいました。そして、「この解雇は不当であるというのが大前提なので、まずはそのことを4人の連名で書面にて申し入れをするべき」ということでした。

私が労働局で聞いた話しでは、「このまま解雇の流れになっていくので、そうしたら、送られてきた離職票が会社都合になっているか確認して。それから補償金を求める形になる」というようなことだと思っていました。ところが、同じ労働局に行ったはずの子持ちママさんは、「不当解雇だという意志を会社に何も伝えなければ、そのまま解雇を受け入れたと取られてしまう。また、紛争状態が起こっていないと、補償金などは取れない」と言われたといいます。叔父様が言っていることは、子持ちママさんが労働局から聞いてきた話と一致しており、「ここはじゃあ、申し入れをしようじゃないか」ということになりました。

翌日にはカリスマさんが申し入れ書の草案を作ってラインに流したので、それについて気になる言葉をみんなで検討したり、最後には弟弁護士の添削を受けて、文章を完成させました。基本的には、「今回の解雇は、満たすべき4要件をいずれも満たしておらず、承服できかねる。ついては、具体的な数字の資料(決算書や財務諸表など)をもって説明責任を果たせ」というようなものでした。最後には、「これらが説明できないのならば、とうてい解雇は受け入れられないので、有給休暇の消化と金銭的補償を求めます」というものでした。

この文書は3/9にみんなで会社に集まって、会長に手渡しするということになりました。果たして決算書などは出てくるのでしょうか?書籍の収支が赤字であるのは以前から明白でしたので、そう言われてはぐうの音も出ませんから、反論を考えなくてはなりません。

そもそも、書籍は会長や元社長のトップダウンで作ったものが半分以上あること。自分たちの企画にしても、すべて書籍販売会議を通し、制作費の予算についても会長と元社長から了承を取って進めているものであるということ。また、昨年の5月~8月にかけて、会長と元社長が対立し、元社長側についた営業の人たちが、ほとんど書店回りをせず、倉庫に書籍が積みあがっていて空転状態であったこと、などなど。最終的に営業の人たちと元社長は会社を出て行ったわけですが、私たち4人だけが責任をかぶせられるのは納得がいきません。そのほか、解雇回避の努力をしているのかどうかもチェックしようということになりました。

そして始めての団交??

3/9の午後からということで、私も再び有休を取っているにも関わらず、出社して待機しました。会長は1人ずつ呼び出して話をするつもりだったようですが、強引に4人一緒に打ち合わせ室に入っていき、例の申し入れ書をカリスマさんが渡しました。一通り読んだ会長は「ま、みなさんの言いたいことは分かりました。明日、弁護士に相談に行くので、回答は週明けかな」と言いました。そこで、おっちょこちょいな人が、3/13の会議室を取るために席をはずしたのですが、そのときに会長がぽつりと「まあ、これやっている間に会社があるかどうか・・・・」とこぼしました。その可能性は私たちも考えましたが、だからといってこのまま引き下がるわけにはいきません。「まあ、それはそれ、これはこれです」というと、会長は「まあ、そうだな」と答えました。そのようなわけで、団交はものの5分ほどで終わりました。

年金事務所に行ってみた

今回の解雇にはいろんなことが絡み合っていて、それぞれの事項ごとに相談に行く場所が違うので、なんだかやたらとあちこちに相談に行っているような気がします。例の「社保の会社折半分負担のため、給料から一律3%ずつ天引き」が違法ではないかとの指摘を労働局から受けたので、そのあたりを確認したいと思い、年金事務所へ行きました。どこの年金事務所でもいいのかもしれませんが、一応会社がある千代田区の年金事務所にしました。

入り口を入ると、おじいさんが立っている受付があるのですが、一般的な年金相談ではなく、会社のことを調査してほしいので、簡単に相談の内容を伝えました。しかし、まずは一般的な年金相談の窓口に申し出て欲しいとのことだったので、今度は若いお姉さんと、私よりは少し年上のオバサマがいる窓口に、受付と同じように内容を伝えました。

すると、隣にいたオバサマがすぐに「違法だ!」と一言いいました。私もすかさず「その違法だというのは、どこに言えばいいんでしょうか?」と聞くと、若いお姉さんが「確認してまいります」と奥へ引っ込んでいきました。そのまま待合で待たされること15分。奥から別の女性の担当者が出てきて、アコーディオンカーテンで仕切られただけの簡単なブースに通されました。

私は早速持参してきた給与明細4年分を見せ、もともとは社保完でなかったこと、強制加入となった時に「会社負担分がまかなえないため、一律3%を給与から天引きする」旨のメールが来たことなどをまずは話しました。するとその女性の担当者は「でもそれは、減給ということになるのではないですか?」といいました。たしかに、メールには「一律3%の減給をお願いします」と書かれていたのです。

もうここで本当にガッカリしました。「減給だということであれば、それはもうどうしようもないことなんですよね?」と私が念を押すと、女性の担当者も「申し訳ないですけれど、そうなりますね」と答えました。もしこれが違法なことであり、今まで天引きされた分を取り返せるのなら、これだけで30万円ほどになります。さすがは悪徳(?)税理士がついているブラック会社なだけあります。

しかし、まだ疑問はあります。それは、3%天引きされた額の給料しかもらっていないのに、私の折半分として引かれている保険料は、3%天引きがされる前の、満額の給与額面での保険料設定になってしまっているのではないかということです。もし毎月引かれている保険料が、本人の給与額面の設定よりも高かった場合は、さすがに違法になります。

ところがorz 私もうっかりしていたのですが、保険料を算定する給与額面には、1ヶ月分の定期代も含まれるのだということでした。なんということでしょう・・・・というか、なんでそんなところに1か月分の定期代が含まれちゃうんですかーーー!じゃあ、1ヶ月の定期代がやたら高い人は、社保の保険料も高くなっちゃうんですかーーー!・・・・なんだか解せない・・・・。でも定期代を含めれば、たしかに保険料は現状のままで正しい金額でした。

年金事務所に乗り込んできた時の勢いはどこへやら、「それじゃあ、なんにも手のうちようはないんですね(-_-;」とお通夜のような顔で尋ねると、「ほんとに申し訳ないです。これでもし個人負担分の保険料の額がでたらめだったら、指導できるんですが、この明細から分かるのは、給料から一律3%減給ということだけですね。これでは会社に指導をいれることはできないです」と言われてしまいました。私はそのまま力なく年金事務所をあとにしました(ノ△・。)

 

見通しがついてきたかな??

理由書に警戒心ゼロ

3日の金曜日に受け取った理由書には、「書籍編集部の赤字は○○○○万円にも及び、このままでは会社の経営が立ち行かなくなるため、書籍編集部を3/20をもって解散し、それに伴い貴方を解雇します」というようなことが書かれていました。カリスマさんは「警戒心ゼロだね。これで本当に弁護士に相談したわけ?」と余裕綽々でした。

その夜、カリスマさんからラインで「緊急!」と号令がかかりました。実は、会社のカラオケ雑誌の編集部員で、今回の私たちの解雇とはまったく関係なく、社員が1人自己都合で辞めることになり、そのため、どうやらハローワークに募集を出すらしいことがわかりました。このあたりの情報網のすごさにはいつも感心させられます。弟弁護士さんから「4人の社員を解雇しておいて、別の部門で新たな社員の募集をかけていたら、それは違法行為だ」と指摘があり、「ハローワークの募集を見つけたら、すぐにスクショ!」との通達がされましたw

違法行為の証拠をつかんだぞ!

翌日の4日の朝9時すぎに、おっちょこちょいな人から「ハローワークの募集見つけましたよ」とラインが入り、すぐにスクショも流れてきました。本当にIT化時代は恐ろしいものです。あっという間に情報が発見され、みんなのところへ一斉に、瞬時に流れてきます。私も早速スクショして、プリントアウトもしておきました。これで、このあとに労働局にあっせんを依頼したり、裁判で争うことになった時には、今回の解雇が不当であることの証拠になります。

その週末は、先の見通しもついたような感じで、久々にぐっすりと寝て、5日の日曜日には、家族で越生の梅園を見に行ってのんびりと過ごしました。

今度こそ最後の出社になるのか

有休のはずなのに出社w

さて、理由書がもらえると言われていた3/3は、皆それぞれに書類を作成して、朝から出社していました。情報によると、前日に会長が弁護士に相談に行ったということで、これはなんらかの書類が出るのだろうと思われました。

当初は午前中のうちにみんなで会長に詰め寄ろうと話していましたが、どうやら「ただいま準備中」とのことで、仕事があるカリスマさんとおっちょこちょいな人は会社に残り、子持ちママさんと私はお昼に出てしまいました。

すると、ちょうどその間に会長から理由書が手渡され、会社に残った2人は受け取ることができ、ラインで「受け取ったよ~」と流してくれました。お昼に出てしまっていた私たちもお会計をして戻りましたが、残念なことに会長がお昼に出た直後でした。しかたなく、データがほとんど入っていないパソコンで、いろいろな本の売上げをみたり、ネットニュースを見たりして1時間つぶし、会長が戻ってきたところですかさず声をかけて受け取ることができました。

理由書を受け取る際に会長が「ちょっといいかな」というので、1つしかない小さな打ち合わせ室に行きました。会長から「この後は(4月以降、委託業務として)続けられない?」と聞かれたので、「あの条件ではお受けできないです」と答えました。続いて「今後はこのまま休まれる(有休消化)のかな?」と聞かれたので、「はい、いろいろやることがありますので」と答えました。ここで「転職活動がありますので」といってしまうと、会社の不当解雇を認めてしまうことになるのかと思い、「いろいろ」と言ってみました。会長は「まあ、必要だろうからね」と返してきました。

そもそも、私が提出してある有給休暇の申請は、すでに会社基準を突破しているのですが、そのようなことはまったく気にしていないようで、もしかしたら編集局長さん-経理の人で結託して、そのような状態であることを会長に報告してないのかもしれません。まあ、会社基準を突破していようが、法定の日数内なので問題ないのですが・・・・。

最後に会長から「どうも長い間お世話になりました」といわれましたが、こちらも「お世話になりました」と返してしまうと、これまた不当解雇を認めてしまうことになるのかと思い、「それほど長くありませんでしたけれど」と答えました。この1つしかない打合せ室で、4年前にこの会社に採用が決まったときに、会長から労働条件について説明されたことを思い出しました。社保完でなかったのはビックリしたけれどw でも希望に満ちていました。同じシチュエーションなのに、あの時と今ではこんなに違うものなのかと、半ばあきれてしまいました。打ち合わせ室を後にするときには、「私がこの打合せ室に入るのも、このおじいさんの顔を見るのも今日で最後だな」とたいした感慨もなく思い、理由書を受け取ったので、すぐに帰路につきました。

子持ちママさんの交渉

私が会社を出るときに、子持ちママさんが理由書を受け取るために打ち合わせ室に入っていきました。子持ちママさんは、理由書を受け取るついでに、なんとか40日ほどある有休を使わせてもらって、退職の日付を4月末にしてもらえないか?という交渉をしたいのだと、その前のランチのときに話していました。普通の会社だったら、それぐらいOKが出てもいいものです。

ところが会長は話がわからず(わからないふりかもしれませんが)、4月も来たいなら来てもらって、仕事があるからやってもらいたい。それで4月末の退社日でどうか?と言ってきたのです。子持ちママさんとしては、3月で解雇になるのを見越して、4月からちょっとした学校に通うことを決めていました。すでに申し込みをして料金を支払っているため、4月末までは保育園や社会保険のためにも社員の状態であることが必要でしたが、会社にはなるべく出社しないで済むようにしたいと思っていたのです。ところが、会長に有休を使わせる気は毛頭ないようで、子持ちママさんが「有休を使わせてもらいたい」と再度お願いしたところ、「お金の問題なので、弁護士に相談しないと返事ができない」ということで、保留になってしまったようでした。

私自身も、有休消化はしていましたが、3/20退社ならば7日ほど残ってしまいそうでした。ただ、私がもう一つ前の会社から今の会社に移ってくるときには、相当な日数の有給休暇が残っていたにも関わらず、2~3日しか消化する暇がなく、大半を残したまま辞めてきてしまっていたので、それに比べたら「今回はこんなに休めてよかったわ~」ぐらいに思っていて、もう残りの有休は諦めるつもりでいました。

引き続き、理由書を求めるための準備

なんと他にも仲間がいた!

実は、このゴタゴタがあった最初の週末に、おっちょこちょいな人と書店営業のOさんが、書店でのイベントのために休日出勤をして立ち会っていました。そのときに、ふと「書籍もいろいろ大変なんですよ」とおっちょこちょいな人がこぼしたところ、Oさんも「実は・・・・・・」と重い口を開きはじめました。実は、私たちが解雇を通告されるよりも2週間ほど前に、Oさんも会長から「書店営業の仕事を委託業務としてやってもらえないか」と打診されたそうです。Oさんはもともと、会長からヘッドハンティングの形でこの会社にやってきたので、「それは話が違うでしょう」と突っぱねたそうです。解雇を突っぱねることはできたようですが、それからはかなり無茶なノルマを課され、しかもそれを毎朝手書きで表に書き入れて報告しなくてはならず、書店営業でベテランのOさんも、さすがに鬱憤が溜まっているとのことでした。

私は有休消化に入ってしまったので行きませんでしたが、他のメンバー3人とそのOさんとで、会社から少しはなれたお店でランチをし、そこでOさんと書籍編集部で「○○ユニオン」という名のライングループを作ったというので、私もすぐに招待してもらって、そちらにも入りました。

ただ、Oさんはまだ解雇通告されておらず、すでに某ユニオンに相談に行っており、「これからみんなで結託して、このブラック出版社をもっといい会社にしよう!エイエイオー(*`∧´)/」という感じだったのですが、こちらはすでに解雇通告されている身で、今さら「会社を良くしよう」といっている場合ではありませんでした。なので、少し距離を置きつつ、最低限の情報共有をしようということで、ライン上でのみ会話をしていました。

解雇理由書を求めるための書面を作る

さて、解雇理由書を3/3(金)にもらえるらしい、という情報がもたらされましたが、会長は一向に弁護士に相談に行く気配が見えず、「まさかこのまま理由書を出さないつもりでは?」という疑念がみんなの頭に湧いてきました。そこで、解雇理由書を求めるための書面をそれぞれに準備しておいて、当日に理由書が出てこなかったら、他の社員の面前で「理由書を求める書面」を会長につきつけよう、ということになりました。

解雇理由書の書面も検索すれば色々出てくるのですが、ここのページを参考にして、あとはカリスマさんの弟弁護士さんに文面をチェックしてもらって決定しました。しかし、先ほどのリンク先を下まで見ていくと、1度請求しただけでは出てこないことがあるので、再度求める場合に使う書面や、理由書が出てきたものの、まったく理由が書かれていないため、きちんと理由を書くように求める書面もあり、「世の中の腹黒い社長というのは、いくらいっても理由書を出してこないものなんだな」と認識しました。

なんとか無事に書面を作ってから、弟弁護士さんの添削を受け、会社へ行って手渡すと同時に、郵便局から「簡易書留」で出すようにと指示されました。私の中では、こうした書面は「内容証明」で送るものと思っており、「どうやって送るのかな?」と軽い気持で調べてみたところ、思った以上にめんどくさい工程のように思ってしまい、「ちょっとなー」と若干引きました。ところが、おっちょこちょいな人が以前に高額エステの勧誘に引っかかって、うっかり申し込んでしまったときに、その申し込みをクーリングオフするために内容証明を送ったことがあるというのです。そんなドジもたまには踏んでみると、いい経験ができるものなのですねW

「それなら内容証明はよろしく~」といっていたのですが、弟弁護士さんによると、簡易書留でも問題ないということでした。先ほどのサイトには「配達証明でもOK」と書かれていました。とにかく出した日付がはっきりしていて、相手が確実に受け取ったかどうかをチェックできる方法で送る、ということなのかと思いました。

さて、こうしてすったもんだして作り上げた「理由書を求める書面」を、会長に突きつけることなく、私たちはきちんとした理由書を受け取ることができるのでしょうか??